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根をもつこと

根をもつこと
図書館が開いたので、シモーヌ・ヴェイユの『根をもつこと』を借りました。思い起こせばヴェイユとの出会いは、久美沙織『丘の家のミッキー』のなかで麗美お姉さまが、たしか中学生にして『重力と恩寵』を読んでいたと書かれているのを見たときでした。『重力と恩寵』のあまりに厳しい思想に打ちのめされながらも、社会的なものを相対的と見て神の永遠に重きを置くヴェイユへの共感をいかんともしがたいのです。
『根をもつこと』は社会学者の真木悠介の美しい著作『気流の鳴る音』の「根をもつことと翼をもつこと」というフレーズに踏まえられていることは意識していましたが、読むのは今回が初めてです。原題のL'ENRACINEMENTを見て、ああデラシネの対義語かと思いました。果たせるかなフランス語の辞書を引けば、enraciner(根づかせる)という動詞があり、racineは根を意味するようです。訳者解説を夢中で読みました。
私が故郷の過去について調べたり書いたりするのは、単なる郷愁によるのではありません。ひとりの少年が過重なものを負わされ、破滅させられ、石もて故郷を追われたという苦い事実から出発しています。ヴェイユがロンドンの亡命政府で見つめた祖国フランスと、私が埼玉で見つめる故郷・六里ヶ原(いわゆる北軽井沢)を、意識的に重ね合わせながら読んでいるところです。そこから見えてくるのは、故郷の人々の様々な根づきの試みとその失敗の諸相です。故郷喪失ということが宿痾のような私のテーマですが、ヴェイユの著作によって新たな展望が開ける予感がしています。

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