かがや かがや いとこひし

かがや かがや いとこひし

かがや かがや いとかわい
ねんじのねがひはいくらでも
このわれがかなえてしんぜよう

赫(かが)や 赫(かが)や いと恋(こい)し
赫(かが)や 赫(かが)や いと可哀(かわ)い
爾(なんじ)の願(ねが)いは幾(いく)らでも
此(こ)の余(われ)が叶(かな)えて進(しん)ぜよう

“では、彼方(かなた)のあの月(つき)を
消(け)してみてはくれませんか”

なんとも他愛(たあい)のなきことを
月(つき)とは朝(あした)に消(き)えるもの
あれあれ爾(なんじ)とあろうもの
可笑(おか)しな戯(たわむれ)れを申(もう)します

かがや かがや いときよし
かがや かがや いといとし
ねんじをぜひにもわがつまに
しからばいかがはせんぜよう

赫(かが)や 赫(かが)や いと美(きよ)し
赫(かが)や 赫(かが)や いと愛(いと)し
爾(なんじ)を是非(ぜひ)にも吾(わ)が妻(つま)に
然(しか)らば如何(いか)が馳(は)せんぜよう

“では、池(いけ)に浮(う)かぶ月(つき)を
取(と)ってみてはくれませんか”

何(なん)とも賢(さか)しい腕試(うでだめ)し
良(よ)かろう直(す)ぐにも御許(おんもと)に
あれあれ どうして 取(と)れませぬ
否々(いやいや)、しばしのお暇(いとま)を

さては水底(みなぞこ)に沈(しず)みやと
男(おとこ)は池(いけ)にて溺(おぼ)れ死(し)ぬ

赫(かが)や 赫(かが)や いと怖(こわ)し
赫(かが)や 赫(かが)や いと険(けわ)し
月(つき)が憎(にく)いと今日(きょう)も泣(な)く
月(つき)が憎(にく)いと今日(きょう)も泣(な)

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