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同時審判申出共同訴訟(41条)の要件、取扱い

同時審判申出共同訴訟(41条)の要件、取扱い

1.①既に共同訴訟として成立している場合にのみ可能。別々に審理されている事件の併合強制まで認めるものではない。
 ②共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存しえない関係にあること。
 一方の請求における請求原因事実がが他方における抗弁事実になる等主張レベルで請求が両立しない関係にある場合であり、例えば、代理人と取引した原告が、代理権があることを前提に本人に対する履行請求(民法99条)をする訴えと、代理権がないことを前提に代理人に対する責任追及(民法117条1項)をする訴えなどである。
 請求が事実上併存しえない場合は含まれない。例えば、契約の相手方がAかBのいずれかであるとして両名に対して請求をする場合などであり、この場合は含まれない。
 ③事実審の口頭弁論終結時までに原告が申出をしたこと。
 申出ないし撤回(規則19条1項)は、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない(同条2項)。

2.上記の要件をみたす場合には、裁判所は、当該共同訴訟の弁論及び裁判を分離することができない。
 通常共同訴訟としての審理は、この限度で修正されるが、共同訴訟人独立の原則は維持され、共同被告人の1人による訴訟行為(主張、上訴など)の効果他の共同被告には及ばない。
 第1審が同時審判申出共同訴訟となっても、各共同訴訟人はそれぞれがそれぞれの判断で控訴することができる。しかし、各共同訴訟人に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に係属することになったときには、これらを併合して審判しなければならない(41条3項)。注1

3.原告の申出を看過して分離がなされたとしても、原告が特に異議を述べなったならば、①申出の黙示的撤回があったとみられるか、②手続的瑕疵についての責問権を放棄あるいは喪失したと判断されることになり、いずれにしても手続が違法となることはない。したがって、被告に異議を述べる利益はない。なぜならば、そもそもが原告の利益保護の制度であるからである。

『民事訴訟法講義案』再訂補訂版(2010年)309頁-310頁参照。

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